さてさて、梅雨から夏にかけても雷シーズン。発達した積乱雲単体(サンダーヘッド、熱雷)よりも、この次期だと雨雲全体がどんよりと覆い、そのなかで雷が発生する(雲間放電)ため、なかなか稲妻は目に出来ません。
そういった点ではやはり、真夏の夕立ちが外れが少なく、ベストです(`・ω・´)
稲妻写真は沢山撮影してきましたが、稲妻を撮影するヒントを。
雷を撮影する方法というのは実は簡単です。しかし、難しいのは雷の位置を把握したり、閃光タイミングを感じる経験です。
(↑写真は巨大積乱雲。滅多にお目にかかれない規模で、下に見える山々と比較すると、いかに巨大か判る。この後の雷写真が下のものです)
さて、閃光なった稲妻の温度は太陽表面の5倍超(約30,000℃超)に達するため、色を撮影するのは不可能です。数万ケルビンに相当するため、白色に写り、雲の中の閃光は、チリや水滴等に拡散反射して波長の長い赤色に近くなって写ります。自由な色温度で撮影しましょう。
そして露出についてですが、実は明るさは気にせず、むしろシャッター速度が1~5秒程度必要なことが重要です。
1/1000秒~1/10,000秒という一瞬の閃光なので、光ってから露光では到底撮影できないため、雷のリズムにあわせて光る前に露光を予想して開始します。不慣れで雷のリズムがわからない場合などは、連続的にシャッターをずっと切ります。どこかに写るでしょう( ´∀`)
フィルムなどの場合は、1枚がもったいないので1枚を30秒露光など長くする必要があります。
もっとも、大抵は雷以外のものを雷と共にうまく露出をあわせて撮影したいでしょうから、「背景が適切に露光できるもっとも長い時間」がベストです。しかしながら、閃光は距離やチリの影響で太陽のように、光の強さが大きく減衰することもあるので、最低でも露出が5~6EV程度となるようにしましょう。
(たとえば、ISO100のときf/11で4秒程度の露出が6EVです)
そして、雷を観察すると、複数の雷の中に、稀に大きな雷があります。
大抵の落雷は「負極性落雷」と呼ばれるもので、これは、雲の下あたりからマイナスを帯びた電子(プラズマ・リーダ)が時速30万キロで地上のプラス側と結びつき、プラス側(大地側)から雲に向かって、時速3億キロ(83,000Km/s)の速度の閃光となって、60マイクロ秒の短時間に1~3万アンペアの電流が駆け上がります。これは同じ経路でごく短時間の間に連続して数回流れます。
しかし、稀に、「正極性落雷」と呼ばれる極めて大きな雷(日本では冬季雷とも)が発生します。これは、負極性落雷と逆で、雲の上にあるプラスの電子が地上のマイナス側に向かって、まさに落ちるものです。見た目はよく見る負極性落雷が逆さまになった形状で、木のような形です。
この落雷では、1度だけ電気が流れますが、この1度だけで、200~2,000マイクロ秒もの長時間に渡って1~20万アンペアもの電流が流れ、よくある負極性落雷の20~30倍のエネルギーになります。
この正極性落雷の発生確率は日本で10%程度ですが、サンダーヘッドの上から地球に並行に伸びて、そのまま地上で落ちるような稲妻を観測できるうえ、当然明るさも桁外れです。
人が創りだすこともできない、莫大なエネルギーのShowは、危険であり、大袈裟でなくとも死と隣り合わせですが、それは素晴らしいものです。
くれぐれも安全対策を怠ることなく、楽しい雷撮影をしてください。
(`・ω・´)b
参考文献(ナショナル・ジオグラフィック財団・気象の事典)