2011-01-31

今だから、フィルム現像をしよう。その3


self dev 5of9, originally uploaded by Giyu (Velvia).

5.時間の確認

現像処理に必要な薬品がすべて用意できれば、あとは用意した薬品を順番に、決まった時間に現像タンクへ注いでいくだけです。
気をつける必要があるのは、「現像液に浸す時間(現像時間)」と、「定着液に浸す時間(定着時間)」です。

前回紹介したように、使用する現像液、フィルムの組み合わせごとに決まった液温で、決まった時間、現像液に浸す必要があります。また、すべての薬品で、目安となる時間も決まっています。

特に現像時間については、秒単位で仕上がりが僅かに変化していくので、注意します。それらを簡単に管理するため、タイマーを使用します。
キッチンタイマーでも良いですし、ラボタイマーなどでも良いです。


self dev 6of9, originally uploaded by Giyu (Velvia).

6.プロセッシング

500ミリリットル現像タンクの場合、以下のような時間・手順で行います。

A. 前浴液をタンクに入れて、30秒連続攪拌して排水。
B. 現像液をタンクに入れて、規定時間浸して排水。(最初の30秒連続攪拌し、その後は30秒ごとに攪拌)
C. 停止液をタンクに入れて、30秒連続攪拌して排水。
D. 定着液をタンクに入れて、7分浸して排水。(最初の30秒連続攪拌し、その後は60秒ごとに攪拌)
E. タンクの蓋を外し、大量の流水で15分程度水洗。

簡単には以上の手順です。
※水洗促進剤、水切り材などを使用した場合は若干変わります。

注意すべきは、攪拌です。シェイカーのように振るのではなく、手首をスナップさせて上下反転します。(倒立攪拌とも呼ばれます)連続攪拌では、攪拌をずっと連続して行います。
攪拌が不十分になると、現像ムラ、定着ムラなどが出来てしまいます。
また、すべての時間はタンクに薬液を注ぎはじめた時点から起算し、排水完了時までの時間です。現像時間が5分と指定されているとき、タンクに注ぎはじめから排水し終わる時間まで含めて5分となります。

定着液は、フィルムが透明になるまでの時間が最低定着時間です。時間が不足しているかは、タンクの蓋を開けて実際のフィルムの状態を視認してください。おおむね 5分は最低でも定着時間をとりましょう。

※水洗促進剤(「富士QW」等)の薬品を使用すると、水洗時間が短くなるため水道代の節約になります。水洗不足になると、薬品が乾燥時にフィルムに固着して最悪フィルムがダメになってしまいますので、水洗促進剤は有効です。水洗促進剤を使用する場合、定着後に30秒程度水洗したあと1分程度水洗促進剤に浸し(攪拌不要)、その後は大量の流水で 5分程度水洗するだけで完了です。
※水切り材(「ドライウエル」等)の薬品を使用すれば、フィルム乾燥時の水滴がなくなり、水垢・水滴の跡がフィルムに残りにくくなります。水切り材は、プロセッシングの最後に30秒程度浸して、拭かずにそのまま取り出せば完了です。

7.廃液の処理

廃液には有害物質が含まれているため、そのまま下水に流したり、河川へ流すことは危険です。極めて大量の水に希釈して排水するようにしてください。もっともベターな方法は産廃業者へ依頼して回収してもらう方法です。水道代の節約のためにも環境のためにも最善策となります。
なお、産業廃棄物として廃現像液は「廃アルカリ」、廃定着液は「廃酸」と呼ばれています。これらの廃アルカリ・廃酸を受け入れられる廃棄処理業者であれば受け付けてもらえます。

2011-01-29

今だから、フィルム現像をしよう。その2


self dev 3of9, originally uploaded by Giyu (Velvia).

3.薬品を用意する。

現像は、フィルム上にある潜像を、見える形に化学変化させて現すことを言います。難しいことは置いておいて、現像を行うための「現像液」、現像を停止させるための「停止液」、それを固定するための「定着液」の3種類の薬品が必要です。

3-1. 現像液について
現像液には、2011年現在で富士フイルムのミクロファイン、米コダックのD-76などがあります。どれでも良いのですが、現像するフィルムと同一メーカー製であれば、何分程度現像液に浸せば現像できるかといった、現像時間が説明書に含まれているので、困らずに済みます。
(たとえば、富士フイルムのミクロファインで、ネオパンSSフィルムを現像する場合、20度の現像液に9分30秒浸せば適切であると書かれています)

なお現像液で注意すべきは、開封時点から約1~2ヶ月で使用には適さなくなることです。2リットル用、1ガロン用など容量大小の製品が販売されていますが、あまり何本も現像しない人は容量の小さな現像液を用意しましょう。
また、現像液は「粉末タイプ」と「濃縮液(液状)タイプ」があります。


粉末タイプの現像液 (PERCEPTOL)

濃縮液タイプの現像液 (TMAX Developer)

粉末タイプは、使用する前日にあらかじめ溶解するなどの作業が必要です。一般的には指定温度の水に溶かす(溶解)だけで良いものと、2種類の粉末を混ぜて溶かすタイプがあります。

濃縮液タイプは、使用する直前に希釈するだけで良いので、手軽に現像できます。前日に溶解する必要もありませんし、粉末タイプよりは使用期限も長いため、良いことばかりですが容量あたりの値段が高くなっています。

※ごく一部のフィルムによっては現像液が指定されているものがあります。米コダックのTMAXフィルムでは、TMAX Developer での現像が推奨され、それ以外では適切な現像が出来ない場合があります。

3-2. 停止液と、定着液について

続いて停止液は、酢酸(さくさん)を使用します。
フィルム現像用に製品化されている富士酢酸などであれば、これで問題ありません。


富士酢酸

最後に定着液は、現像液同様にフィルムメーカーからいくつかの定着液が販売されています。富士フイルムのスーパーフジフィックス、米コダックのKodafix Solutionなどです。ほとんどの場合、濃縮液タイプですのでどれを選んでも問題ありません。始めは現像液同様に、現像するフィルムメーカーのものを使用すれば、どの程度の時間浸せば定着が完了するか目安が書いてあるので、それを選ぶと良いでしょう。



self dev 4of9, originally uploaded by Giyu (Velvia).

4. 必要な分だけ希釈して用意する。

現像液、停止液、定着液は、現像するフィルムの種類、液温にあわせてかならず希釈して用意してください。(希釈比率、液温等は各フィルムメーカーのウェブサイトと、各現像液メーカーのウェブサイトで紹介されています)
あわせて、現像液に浸す時間(現像時間)や、定着液に浸す時間(定着時間)の目安についても確認しておきましょう。

今回は、現像フィルムを「プロフェッショナル トライX 400 (400TX)」、現像液「TMAX Developer」、停止液に「富士酢酸」、定着液に「Kodafix Solution」を使用し、500ミリリットルの小型現像タンクで現像してみます。そのため、すべての薬品は500ミリリットルになるように用意します。
現像液は、1:4で希釈使用するよう明記されているので、原液 100ミリリットル、水 400ミリリットルで希釈。
停止液は、1.5%の酢酸水溶液となるようにします。そのため 50% 原液である富士酢酸を、原液 15ミリリットル、水 485ミリリットルで希釈。
定着液は、1:3で希釈使用するよう明記されているので、原液 125ミリリットル、水 375ミリリットルで希釈となります。
なお、すべて現像液の液温に合わせておきます。

これら以外に、現像液を注ぐ前に一度、水に馴染ませて余計な薬品をフィルムから取り除くための「前浴」をするための「前浴液」を用意します。これは、100%水で構いません。ただし、液温は現像液に合わせておきましょう。
(ここでは詳細に触れませんが、前浴液に水切り材を含める場合は1万倍希釈の水溶液にします)

2011-01-28

今だから、フィルム現像をしよう。その1

デジタルから写真を始めた人や、写真現像そのものに詳しくない人は、どういった感じでフィルムを現像しているのか判らないものです。特に、現像というと、ドラマで暗室の中、紙焼きをしているイメージが強いらしく、自家現像というのはとても難しく、簡単には出来ないと思いがちです。(´・ω・`)

実際には、モノクロネガフィルムであれば自家現像は誰でも出来るほど簡単です。高校時代に写真部なんかにお世話になった人も多いはず。
光を受け止めて画を作る写真の面白さ、理解のためにも、知っていると良いです。しかも、今の時代はフィルム代も現像代も高くなる一方で、自家現像は節約にもなって良いことが多くあります。

デジカメの現像とは言葉の意味は同じでも、中身は全く違います。
デジカメから始めた人も、「こんなに簡単に現像できるならフィルム使いたい( ´∀`)」と思ってもらえれば幸いです。

そんなわけで、何回かに分けてフィルムの自家現像手順を紹介してみたいと思います。


self dev 1of9, originally uploaded by Giyu (Velvia).

1.フィルムを取り出す
まずは、撮影済みのフィルム(モノクロネガ)を、フィルムカートリッジ(ドイツ語のパトローネもよく使われます)から、ちょっとだけ引き出します。これには、専用のフィルムピッカーを使うのが一般的です(古いフィルムを加工して取り出すなど、色々小技もありますが、面倒なのでしません)

※ここで必要な機材は、フィルムピッカーです。

必要以上に出すと、感光してしまってフィルムがダメになるので注意します。


self dev 2of9, originally uploaded by Giyu (Velvia).

2.フィルムをリールに巻きつけ、現像タンクに入れる。
10センチ程度引き出して、それを現像リールに少しだけ巻きつけます。
(リールは、製造元によって巻きつけ方が色々異なります)

残りの部分は、暗室内か、ダークバック(暗室箱)という斜光されたゴミ袋みたいなものの中で、手探りで行います。残りのフィルムをすべてリールに巻きつけたら、そのまま現像タンクに入れて、現像タンクの蓋をしてしまいます。
手探りで行うので、最初は何度か明るい所で不要なフィルムを使い、練習しましょう。

※現像タンクは、二重構造になっており、注ぎ口が開いても中に光が入らない構造なので、現像タンクにリールを入れて蓋をした時点で、もう暗室やダークバック内でする作業は終了です。

※ここで必要な機材は、暗室またはダークバックと、現像タンクおよびリールです。

2011-01-15

1月のトーン


Rollei 35 S, 400TX
hot, originally uploaded by Giyu (Velvia).


cabbages, originally uploaded by Giyu (Velvia).


concrete road, originally uploaded by Giyu (Velvia).


Rollei 35 S, TMAX100
recycle box, originally uploaded by Giyu (Velvia).

結局始まればいつもの繰返し。すぐに次の新年が恋しくなる、そんな1月。

2011-01-14

登り坂


Rollei 35 S, 400TX
an uphill, originally uploaded by Giyu (Velvia).

見慣れた景色も見慣れない人にとってはいつも新鮮。どれだけドラスティックに撮るかで、自分が見慣れた景色が新鮮になるかもしれない。

2011-01-12

Road of memories (逝くとき、祝うとき)


Kodak GC400, Nokton Classic 40mm f/1.4 S.C.
Road of memories #1, originally uploaded by Giyu (Velvia).

生誕を当然のこととして、価値あると祝うのならば、
死も同じく命の自然の選びとして、祝っていいもの。



供華, originally uploaded by Giyu (Velvia).

私が逝く時にはきっと、やり遂げたこと思い浮かべはしない。
私が逝く時にはそっと、その面影微笑むだけでいい。



“いつの日か、私が逝く時には、生も死も哀れまずに、
私という、ひとかたまりの、願いどおりだと祝って欲しい”


※若くして亡くなった祖父、その後四半世紀以上、何人もの子供をひとりの手だけで貧しいながら育ててきた祖母は、何も変わらない、この小さな炊事場で過ごしてきた。炊事場は居間の隣りにあり、高い段差がある所為で往来に苦労する。四畳足らずの小さな炊事場には本当に小さなコンロと、ヤカン類、洗濯機まで詰め込まれている。
笑顔を絶やさず、悲しい素振りをしない家系は、貧乏な戦後を生き抜いてきた祖母とその兄妹たちの苦労故なんだろうと思う。なにせ、亡くなった事実に言葉をはせる時以外は、祖母の生前と今を語るこの人たちは、本当に楽しそうだから。
だから、自然の選びとして笑顔で祝いたい。


※写真最上段…私が生まれてからずっと思い出の道。先に逝った祖母たちの家へ続く道。この景色は30年を超えてもなお何も変わらない。きっとこれからもずっと。(急逝当日撮影) ※写真中段…供えられた白い菊。※写真下段…生前過ごした炊事場。

※詩は、シンガーソングライター小椋佳「デリュージョン」より「逝くとき、祝うとき」より出典・引用。自分の思う生と死の価値観に共感する命の歌。自分の経験してきた友人の死、親族の死、先に逝った人を哀れんだりはしない。逃げかもしれないけど、出来れば祝ってあげたい。ただ自然の中で今の世に生まれ、自分より早く次の世へ逝っただけなんだと思う。

2011-01-11

カレーの香り


Rollei 35 S, TMAX100
curry fun, originally uploaded by Giyu (Velvia).

カレーの美味しさは異常。やはりカレーは日本式カレー。他国の人がインド式より俄然日本式を好むには確かな理由がある。
しかしなんであのカレースパイスの香りを嗅ぐだけであれほどお腹が減るんだろう。

2011-01-02

初詣 2011


Ai AF Nikkor 50mm f/1.4D
初詣 2011, originally uploaded by Giyu (Velvia).

初詣いってきました。いつもの護国神社と某所。
今回は一緒に参拝に付き合ってくれたのが、すてきなお着物を着た美女でしたので、格別素敵な初詣でした。
写真は某所神社にて。