2005-09-27

愛着のある写真を撮るために


DOG LIFE #1, originally uploaded by Giyu (Velvia).

カメラの「ウマイ撮り方」なんてのは沢山ある。いわゆる構図をこうしなさいとか、写真雑誌などで批評されるやつだ。しかし、ウマイ写真と愛着の湧くような自分が満足する写真とは全然違う。愛着が沸いて、自分が撮影した写真を作品として見れるような写真を撮るとき、アーティスティックな写真家はカメラの設定に大変な気を使う。これは、リバーサルフイルムなどの経験があるか、優れた写真家の苦言を意識したかに差がでてくる。

まず、愛着のある写真を撮るときに手っ取り早いのは露出をすべてマニュアル(M)で撮影すること。オート絞り(AUTO)、露出優先(A)、シャッター優先(Tv/S)は、写真全体のすべてのポイントの露出を考えてカメラが自動的にするものであって、見た目の印象とは実は大きく異なる。そんなとき、マニュアルで撮影すれば大きく変わる。
たとえば、絶対露出と呼ばれる「ISO感度分の16絞り」で昼間に撮影してみるといい。「ISO感度分の16絞り」とは、カメラのISO感度が100なら F16・シャッター速度1/100秒で、ISO感度が200なら F16・シャッター速度1/200秒といった具合で撮影すること。これは、太陽光が世界共通でその光量は一定だとする理論に基づいたもので、昼間の太陽光下の絶対露出というわけ。それから、露出を段階的に操作します。たとえば絞りを 2 段明けて F8 にするなら、ISO100 のとき、F16 1/100秒が、F8 1/400秒となるわけです。ぜひ、このマニュアル露出設定で撮影してみほしい。奥行きのある立体感を持つ写真が撮れるはず。

マニュアル露出で撮影できたら、次はとにかくファインダーの中から被写体をじっくり観察して、ファインダーフレームの中に無駄なものが写りこんでいないか、光の反射している部分と影の部分はどうか、この構図で飽きがきたりしないかと丹念に見て撮影すること。花の写真ならば、まず写したい花をじっくり見て、少しでも不要だと思えば花の茎も構図からはずし、思い切り寄ってみるといい。食べ物ならば皿全体から撮影する必要があるものなのか、それともその中の具のどれを際立たせたいのか、じっくり考えてみるといい。

自分の意識した必要と思うものだけを効率的にファインダーの中に入れ、露出に気を配って見える部分と黒く見えなくて良い部分を考えて撮影するだけで期待以上に満足する写真が撮れるだろう。